新生児低体温療法

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  冷却中の一般的注意事項

「ミニマルハンドリング」を心がける

1日に数回は冷却機器と接触皮膚面の確認

感染、出血兆候の確認

けいれん発作に注意

脳波の持続モニタリングを行う(aEEG、できれば長時間ビデオ脳波が理想)

軽度の鎮静をかける

日齢2-3で顔面浮腫が悪化することがあるが、無理にこじ開けて眼球をみようとしないこと

原則筋弛緩薬は不要

  冷却中の一般的注意事項①

「ミニマルハンドリング」を心がける

⇒babyの管理の基本はミニマルハンドリングであり、仮死での神経学的ストレス、組織障害を助長させないためにも必要以上の侵襲をかけないよう努める必要がある。 低体温導入後に、ひとたび冷却装置の温度設定が定まると、比較的安定した管理が可能となる。呼吸・循環に障害を抱える児の多くも、生後6-12時間程度で血圧や酸素化が安定し、スタビライズされることが多い。一見超急性期を脱したかに見えるこの時期に、脳内では再灌流による組織傷害が着々と進行しており、遅発性エネルギー障害やけいれん発作が認められるようになることがあるため注意が必要である。

1日に数回は冷却機器と接触皮膚面の確認

⇒選択的頭部冷却では、全身冷却よりもはるかに低い冷却水でクーリングを行うことに注意し、冷却による頭皮への影響を確認するため、冷却中は、8時間おきにキャップを外して頭皮を確認する。全身低体温においても、接触面での脂肪壊死の報告もあり、定期的な観察が必要である。

  冷却中の一般的注意事項②

感染、出血兆候の確認

⇒.低体温療法施行中は易感染性に注意し、血小板減少や凝固異常などの合併症に留意する必要がある。血球算定や血液像、CRPなどの炎症反応は原則毎日チェックする。頭部エコーでの頭蓋内出血の有無、脳動脈血流波形も定期的にフォローする必要がある。

けいれん発作に注意

脳波の持続モニタリングを行う(aEEG、できれば長時間ビデオ脳波が理想)

原則筋弛緩薬は不要

⇒大泉門と骨縫合の状態・覚醒状態・筋緊張・姿勢・原始反射やけいれん様発作の有無を定期的に観察し、少なくとも8時間に1回は記録をする。ThompsonがSarnatの脳症分類を元に作成した低酸素性虚血性脳症スコアが簡便で有用である。神経学的異常所見をマスクしないように筋弛緩剤の使用は避ける。可能な限りaEEGを持続モニタリングし、適宜標準脳波も施行する。どちらもビデオ記録を併用することで、臨床的発作、電気生理学的発作と両者が同期した狭義のけいれん発作を区別することが可能である。

  冷却中の一般的注意事項③

軽度の鎮静をかける

⇒新生児では筋弛緩剤などの深い鎮静なしでも低体温を導入できるが、適度な鎮静を施さないと興奮性の脳傷害を助長し、脳保護効果を減じる可能性がある。意識レベルを下げることよりも、不快な刺激によるストレスを和らげることが目的なので、塩酸モルヒネやフェンタニルのような麻薬系の薬剤が適していると言われている。

日齢2-3で顔面浮腫が悪化することがあるが、無理にこじ開けて眼球をみようとしないこと

⇒冷却開始後1-2日は顔面の浮腫が進み、診察しようとしても眼瞼を手で開くことができないほどに強い浮腫をきたすことがよくある。この場合には、数日待つことで徐々に浮腫が改善してくることが多い。心不全などがなく、顔面のむくみだけであれば利尿剤などは使わず、また、無用な外傷を防ぐため、診察のために無理に眼瞼をこじ開けたりしようとはしないこと。